HOBBIT WEEKLY · 原文
【サッカーのドリル練習】待ち時間が長い練習の落とし穴|6秒に1回
指導者へのポイント次のセッションで、1人の選手のドリル中の時間を計ってみましょう。1タッチにつき10秒を超えて待つようなら、グループを分けるか2個目のボールを追加しましょう。
こんにちは、講師のカズです。
少年サッカーの練習では、ドリルトレーニングを取り入れているチームが多いかと思います。ただ、同じドリルでも、やり方次第で子どもたちがボールに触る回数は大きく変わります。僕自身、ドリルをやっている他のチームを見て「待ちが長いな」と感じることがよくあります。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
- シュート練習で列が長くなり、子どもたちが順番待ちで退屈している
- 蹴り方や体の向きを直しているうちに、練習がなかなか進まない
- ドリル練習をやっているのに、子どもたちが上手くなっている実感がない
この記事では、ドリル練習の運動量をどう確保するか、そして「6秒に1回ボールに触れるか」という測り方について、僕の若い頃の経験も含めて解説します。この記事を読めば、明日のドリル練習で「どこを見ればいいか」がはっきりすると思いますので、最後までご覧ください。
① 「ドリルは状況判断がない」の話は一旦置いておく
ドリルトレーニングには状況判断がない、という話はよくあります。ここでは、その話は一旦置いておきます。今回お伝えしたいのは、ドリルが良いか悪いかではなく、ドリルを「どれだけ追求してやれるか」です。
ドリルトレーニングをやると、大体その指導者の力量が分かります。もう少し言うと、ディテールの詰め方が分かる、と感じます。ドリルトレーニングを知っている方は多いと思いますが、意外とここが落とし穴かなと思います。
② 大事なのは運動量とインテンシティ
ドリルトレーニングに関係なく、日々のトレーニングには重要な要素がいくつかあります。まずは運動量です。動いている量や、ボールに触っている量、ボールに関わっている量のことです。
そして、もう一つがインテンシティ(プレイの強度)です。この2つがとても重要になります。あとは、短期集中でやるといった要素も関わってきます。
この量をどう確保するかは、グローバルトレーニングでもドリルトレーニングでも変わりません。もちろん、試合後で疲れている時や、休み明けでまだ体が動いていない時は別です。ただ、日々の練習では、ここを意識していく必要があると思います。
③ 練習をさせることと、うまくやらせることは違う
サッカーの練習は、どんなメニューでも一応は成立します。ドリルトレーニングをさせること自体は、誰でもできます。ただ、そのドリルが効率的か、運動量を確保できているか、インテンシティが高まっているかは別の話です。
選手のモチベーションが上がっているかも含めて、ちゃんとやらせないとできない部分です。
① 列が長いシュート練習
ドリルトレーニングは、主にテクニックアクションを伸ばすトレーニング方法です。オフザボールも一部ありますが、基本はテクニックだと思います。その時に、運動量が足りていないということは、とてもよくあります。
よくある例が、列が長いシュート練習です。 10人ぐらいがずらっと並んで、当てて、落として、シュート。自分の順番が回ってくるまでの待ち時間がとても長い、という練習です。
指導を始めたばかりの頃は、こういう練習をやりがちかなと思います。
② プレイしている選手だけを見てしまう
よくあるのが、指導者が選手をいろいろ見て「もっと蹴り方をこうしよう」と伝えたいがために、プレイしている選手だけを見てしまうことです。これは指導歴が長い人でも結構あります。
テクニックを伸ばさなくちゃいけないと思って、ボールを触っている選手だけにフォーカスする。「もっと踏み込みを」「体の向きを」と声をかけている。でも、待っている選手、プレイしていない選手を見ていないので、順番待ちが長くなっていることに気づかない。
このようなことは結構あると思います。
③ 構造的に無理なことは、意外と少ない
他のチームのトレーニングを見て「待ちが長いな」と感じることがあります。ただ、それが構造的にどうしても無理だというケースの方が少ないです。大体は「2つにグループを分ければいいのにな」とか「ボールを2つ使えばいいのにな」という感じです。
そもそも回転率や効率というところに意識が向かない。これは、最初の頃の指導者のあるあるかなと思います。
① パス&コントロール系は、6秒から10秒に1回
では、どう確認すればいいか。僕はドリルトレーニングをやる時、時間を測ります。例えばパス&コントロール系のトレーニングであれば、1人当たり6秒に1回ぐらいボールに触れるか、という感じで測ります。
なぜ6秒に1回かというと、昔、フランス人の方が言っていたことが元になっていたと思います。効率のいいドリルトレーニングは、大体それぐらいの頻度でボールに触れます。もちろんメニューによって変わりますが、長くても10秒に1回ぐらいです。
これより短く、3秒に1回というのは、パス&コントロール系では難しいです。僕も今までやってきましたが、6秒から7、8秒、長くて10秒に1回ボールに触れるのが、大体効率がいいかなと思います。それよりもずっとボールに触るのであれば、ドリブル系のメニューになります。
② 同じ10分間で、100回と20回
6秒に1回であれば、1分間で10回です。 10分間なら、100回ボールに触ることができます。
逆に、30秒に1回しかボールに触れないとすると、1分間に2回です。 10分間で20回になります。極端な例ですが、同じ10分間でも100回と20回。
それぐらいの差が出るのがドリルです。
③ ボールのないところを見る
ドリルで待ちが長くなっていることに気づかない場合、大体ボールにフォーカスしています。
トレーニングがうまくいっているかどうかは、ボールが動いている局面以外も全部です。待ち時間はどうなっているか、グループが3つあるなら3グループとも同時にどうなっているか、周りに危ないものはないか。
いろんなものを同時に見る中で、テクニックアクションも見る、という感じです。
これは試合のゲーム分析も同じです。ボールのあたりは間接視野で見て、そうではないところを見る、というやり方がよく言われます。僕も試合中は、ボールのないところを常に見るように意識しています。
ボールがあるところは、何が問題かが大体分かります。ボールがないところは分析が難しく、そこに意外と大きな問題があることが多いです。
ドリルも同じで、プレイしていない選手を見ると、集中してできているか、待ちが長くないか、選手が退屈していないかが見えてきます。
① 5、6年はドリルとゲームだけだった
僕は若い頃、本当にドリルトレーニングとゲームしかやっていない時期がありました。 5、6年ぐらいはドリルだけでやっていたと思います。その時期に、「こうやったらうまくいく」「こうやったらうまくいかない」ということを、たくさん学びました。
その後、テクニックアクションを伸ばすだけではダメだと思い、戦術的なことを考えて、グローバルトレーニングやスペインの方に傾倒していくことになります。
② 同じ時間でも、3倍4倍の成果が出ていた
当時は少年団で、今のように毎週練習試合がある環境ではありませんでした。人数も多くなかったですが、ドリルトレーニングをがっつりやって、結果が出ました。毎年、市や県のトレセンに選ばれる選手がいて、1人か2人はJクラブの下部組織に進みました。
市の大会でも上位に常に入り、優勝したこともありました。
ただ、それはドリルトレーニングだったから、というわけではないと思っています。 25年ぐらい前、僕のキャリアの3年目から5年目ぐらいの頃です。当時は、他のチームのトレーニングがあまり効率化されていなかったのだと思います。
運動量も、強度も少なかった。
同じ週3回、同じ練習時間、同じような試合環境なのに、うちのチームはドリルに振ったおかげで、ボールに触る回数や運動量、インテンシティがかなり高まっていました。
単純に、同じ時間でも3倍4倍のトレーニング効果があった。今振り返ると、そういう背景だったのではないかと思います。
③ 子どもたちが、自分で朝練を始めた
そしてもう一つ、ここがとても大事なポイントです。選手のモチベーションをどう上げていくか、です。
当時、子どもたちが「朝練習したいです」と言って、勝手に練習を始めるようになりました。
「コーチ、朝見に来てください」と言われて、朝練に付き合ったこともあります。親御さんからも「朝早く起きて練習するようになった」「ゲームを一切やらなくなった」「サッカーに夢中になった」という声がありました。
それぐらいモチベーションを上げてあげると、選手たちは自分たちでやりだします。
毎日ボールで遊んでいる、友達と公園でボールを蹴っている方が上手くなりますからね。ドリルはモチベーションが下がりやすいトレーニングですが、それでも子どもたちが飽きずに集中して、自分で練習するようになる組み方があると思います。
① アシスタントコーチには、まずドリルを任せる
例えば、僕のところにアシスタントコーチがついたとします。多分、最初はウォーミングアップ系や、トレーニング1のパス&コントロールのような、ドリル系を任せることになると思います。それを見て「これはできるね」となったら、次のステップです。
アシスタントコーチや第2監督に、最後の5対5プラス2サーバーのミニゲームのような、メインのトレーニングをいきなり任せることは、まずありません。これは日本に限らず、海外でも同じだと思います。
② ドリルはシンプルだから、見やすいはず
ドリルトレーニングの方が、グローバルトレーニングよりも、指導者としては見やすいはずです。簡単というのは、シンプルという意味です。フォーカスすべきテクニックアクションは決まっていて、それ以外の問題は出てきません。
トレーニングの構造自体も、それほど難しくありません。
グローバルトレーニングになると、いろんな現象が同時に起きます。戦術の問題なのか、テクニックアクションの問題なのか、認知の問題なのか、判断の問題なのか。要素が増えて複雑になります。
だからこそ、ドリルがうまくできないと、グローバルトレーニングやゲーム分析も、おそらくあまりできないと思います。ドリルの良い悪いは置いておいて、まずドリルがうまくできることが基本になるかなと思います。
まとめ
- ドリル練習を見ると、指導者のディテールの詰め方が分かる
- 大事なのは運動量とインテンシティで、これはどんな練習でも変わらない
- 待ち時間が長くなるのは、プレイしている選手だけを見ているから
- パス&コントロール系は、1人6秒から10秒に1回ボールに触れるかを時間で測る
- 同じ10分でも、6秒に1回なら100回、30秒に1回なら20回
- ボールのないところ、プレイしていない選手を見ると、練習の状態が見えてくる
- モチベーションを上げてあげると、子どもたちは自分で練習を始める
次のドリル練習では、一度時間を測って、1人が何秒に1回ボールに触れているか測ってみてください。 2つのグループに分ける、ボールを2つ使う、それだけで練習が大きく変わることもあると思います。
皆さんの指導現場でも、ぜひ試してみてください!
junior-soccer.college
原文をそのまま全文掲載しています。著作権は著者と原掲載元に帰属します。
Hobbit Weekly 第 1 号に掲載ウォームアップの順番とゲームスピードのドリルが立ち上がりの悪さを直す
同じカテゴリの記事:トレーニング設計
- 育成年代の意思決定トレーニング:賢い選手を育てる実践ガイドAprende Entrenando · 10月10日
- ユースサッカーのトレーニングをどう計画するか:指導者向け実践ガイドAprende Entrenando · 10月9日
- 【少年サッカー】練習がうまくいかない時はオーガナイズをすぐ変えるジュニアサッカーカレッジ · 10月8日
- 少年サッカーで男の子の集中力を保つコツr/SoccerCoachResources · 10月7日
