HOBBIT WEEKLY · 原文
【少年サッカー】練習がうまくいかない時はオーガナイズをすぐ変える
指導者へのポイント次のセッションの前に、代替案を1つ書き留めておきましょう。人数、スペース、ルールのどこを変えるか、それでもプレーが現れないときにどのドリルを外すかです。
こんにちは、講師のカズです。
練習を始めてみたら、思ったようにいかない。指導をしていると、そういう日は誰にでもあると思います。
例えば、以下のように感じる方もいるかと思います。
- 練習をやってみたけれど、狙っていたプレーが全然出てこない
- 声をかけて何とか直そうとするけれど、結局15分そのまま進めてしまう
- メニューを変えたいけれど、その場でどう変えればいいか分からない
この記事では、トレーニングの「量」と「質」の考え方から、狙った現象が出ない時にオーガナイズ(人数・広さ・ルールなどの設定)をすぐに変える大切さを、鬼ごっこと1対1の例で解説します。最後に、それでもうまくいかない時の「2つ目のプラン」の話もしますので、最後までご覧ください。
① 量=運動量・プレー回数・インテンシティ
トレーニングの重要な要素は、僕は大きく2つあると思っています。
1つは、滞りなくトレーニングが進むことです。運動量の確保、インテンシティの確保。選手がしっかり体を動かして、ボールに触れる回数やプレーする回数を確保できているか。
例えば15分なら15分の1つのメニューを、充実してこなせているか。わりかし量的な側面です。
② 質=狙っている現象が出ているか
もう1つは、指導者が狙っている現象、試合とリンクさせるための現象、選手に学ばせたい現象が、うまく出ているかどうかです。こちらは質的なものになります。
③ どちらかが欠けても、あまり良くない
どっちかが失われても、あまり良くないと思います。
質を最低限落としたとしても、量があれば、ある程度カバーできることはあります。ただ逆に、質はあるけれど量がない場合は、あまり選手はうまくならないかなと思います。
もちろん、体力的な面を考えて量を落とすのは大事です。ただそうではない場合、細かいところの指導や現象にこだわりすぎて、運動量やプレー回数が確保できない。教えたい、教えたいとなると、そういうことが起きることもあると思います。
なので、量的な部分と質的な部分の両方を満たす必要がある、というのが僕の考えです。
① 練習の質は「現象」で決まる
質のところで大事になるのが、現象です。
何らかのトレーニングをやった時に、どういう現象が出ているか。いいプレーもそうですし、エラーやミスもそうです。その現象に対して、改善したり、さらに伸ばしたりしていきます。
この現象をどう発生させるかが、練習の大きなテーマでもあります。ライセンスの講習の指導実践で「現象を発生させて」「現象にフォーカスして」と言われると思いますが、これは日々のトレーニングでも一緒です。
② コーチングで無理やり出そうとしない
ここを間違う方が結構多いのですが、大事なのは、狙っている現象が出ているかどうかです。だから、オーガナイズは基本的に臨機応変に変更しないといけません。
オーガナイズを組んで始めてみたけれど、「あれ、なんか思ったように出ないな」という時は結構あると思います。その時に、オーガナイズを変えずに、コーチングなどで無理やり現象を出そうとすると、大体うまくいかない。これが僕の経験です。
③ 30秒でストップしていい
むしろ指導者は、練習が始まった瞬間から、オーガナイズを変える準備をしておかないといけないと思っています。
うまくいっていない練習をゴリ押しして15分進めるよりも、すぐに変える。下手したら30秒ぐらいで「ストップ」と止めて、コートを広げる、タッチ制限を入れる。そうやってすぐに見極めることで、その15分の練習を無駄にせずに済みます。
人前でやる指導実践のような場面でも、思ったような現象が出ていなければ、オーガナイズをそのままにする必要はありません。
これは昔、スペイン人に言われたことでもあります。ロンドをやってみて、思ったような現象が出なかったら、すぐにコートを広げたり縮めたり、ルールを変えろ。 1回のトレーニングを無駄にしないために、臨機応変にやる、ということです。
その時その時に、手を変え品を変えやる。だからこそ、観察力や分析力、そしてトレーニングメニューの引き出しの多さが大事になってきます。コートが狭いのか、広いのか。
人数の問題か。フリーマンの数か。そこを見ていきます。
① 鬼ごっこで、端っこに止まっている子がいたら
分かりやすい低学年向けの例です。
グリッドの中で鬼ごっこをします。ビブスを持っている選手が鬼で、タッチしたら鬼交代でビブスを渡します。
スタートしてみたら、コートの端っこで「へいへい、こっち」と止まっていて、30秒ぐらい同じ場所にいる子が1人、2人いたとします。それは理想的なトレーニングでしょうか。違うと思います。
鬼ごっこで狙っているのは、うまく鬼から逃げ回ったり、タッチされたらすぐ追いかけたりして、アジリティやコーディネーションの部分で体を動かすことのはずです。端っこで止まって鬼を待っている子がいるなら、狙っている現象が発生していない、ということです。
原因は、多分鬼の数が少なすぎます。逃げる人が10人に対して鬼が3人だと、追いかけられるのは3、4人ぐらい。残りは退屈になって、全然動かなくてもタッチされない子が出てきます。
なので、鬼の数を増やします。逆に鬼が7人で逃げるのが3人になると、今度は鬼の方が止まります。鬼と鬼じゃない選手の人数のバランスをどう取るか、です。
1分やってそういう現象が起きたら、すぐにビブスを増やして鬼の数を増やす。コートが広すぎるからそうなっていると思えば、すぐにコートを縮める。逆もまたしかりです。
これもオーガナイズの変更です。
② 狭すぎるコートの1対1では、抜き切る必要がない
鬼ごっこは現象が単純なので、すぐに変更できると思います。ただ、もう少し戦術的なもの、サッカー的なものになると、オーガナイズの変更がなかなかできないことがあります。
以前、他の指導者の方のトレーニングにアシスタントで入ったことがありました。テーマは1対1、特に攻撃のレガーテ(突破のドリブル)です。その時、コートがすごく狭かったんです。
実際にやってみて何が起きたかというと、コートが狭いので、攻撃の選手が相手を抜き切る必要がありませんでした。ディフェンダーが来て、右から左にフェイントでかわす。 1メートル、2メートル前に進んだら、もうゴールです。
実際の試合なら、ディフェンダーはついてきます。でもコートが狭すぎて、うまく抜き去れたかどうかの判定ができません。ディフェンスも、もうゴールだからと守備をやめてしまいます。
そうすると、練習ではオフェンスが勝って、うまく突破できているように見えます。でも試合になると相手が追いかけてくるので、抜き去れない。レガーテがうまくいかない、という現象が出る可能性があります。
③ 現象が出ていないなら、すぐに広げればいい
もちろん、一瞬右か左に飛び出すことだけを狙っているなら、問題ありません。ただ、相手を抜き去るところまでのレガーテを求めるなら、オーガナイズとしてはミスです。スピードの変化や、抜きにかかった後のボールタッチの柔らかさが出にくくなります。
その方は「ナイスオフェンス」と声をかけていましたが、僕からすると現象が出ていないように見えました。それでも広さは変えませんでした。「あ、ちょっと狭かったな」と思えば、すぐに広げればいいだけの話です。
これは、準備不足とも言えます。「こうやってうまくいかなかったら、こうオーガナイズを変えよう」という準備ができていないと、手が止まってしまうことは結構あると思います。
① 単純な練習ほど、現象はもろに分かる
鬼ごっこや1対1は、現象として分かりやすい練習です。同数のポゼッションの中でエントレリネアス(ライン間)をどう発生させるか、となると、ぐっと難しくなります。
単純というのは悪い意味ではありません。単純なほど、現象はオーガナイズでもろに分かります。だから普段の練習から、現象を捉える癖をつけておくことが、指導者には大事だと思います。
1対1の練習でも、どこからスタートして、どういう配球をするかで、起きる現象は変わります。オーガナイズのどこに問題があって、どこをいじれば狙った現象が出るのか。まずやってみて、すぐに変更します。
② オーガナイズを変えてもダメなら、メニュー自体を変える
オーガナイズを変えても、やっぱりうまくいかないこともあります。その時は、思い切って練習メニュー自体を変えないとダメです。
狙った現象が出ていないままゴリ押しして、量は確保できても質が上がらない。そうであれば、トレーニングメニューを一切変えてしまうことも、すごく大事なポイントです。
これも昔、スペイン人に言われました。現象を出すために、30秒でもいいからすぐにオーガナイズを変えろ。それでもうまくいかない場合は、違う練習メニューに変えよう、と。
③ 2つ目のプランまで用意すると、想像力が鍛えられる
だからこそ本来は、1日のトレーニングを組む時に、「このメニューがうまくいかなかったら、このオーガナイズに変更しよう。それでもダメなら、このメニューをやめて、こっちに切り替えよう」というところまでプランニングしておく必要があります。
僕も今は頭の中で即興的にできますが、昔はセカンドプラン、2プラン目のメニューまでちゃんと作っていました。現場では、結構緊張感を持ってやっていました。
そこまで用意しても、うまくいかないことはあります。それでも用意しておくことで、「こういうトレーニングをやったら、こういうことが起きるんじゃないか」という想像力が鍛えられます。そして、現場で臨機応変に変更する力も鍛えられます。
まとめ
- トレーニングは「量」と「質」の両方を満たす
- 質=狙っている現象が出ているかどうか
- 現象が出なければ、コーチングでゴリ押しせず、30秒でもオーガナイズを変える
- それでもダメなら、練習メニュー自体を変える
- 2つ目のプランまで用意しておくと、想像力と臨機応変に変える力が鍛えられる
そういうことをやったことがない方は、これを機にぜひ試してみてください!
junior-soccer.college
原文をそのまま全文掲載しています。著作権は著者と原掲載元に帰属します。
同じカテゴリの記事:トレーニング設計
- 育成年代の意思決定トレーニング:賢い選手を育てる実践ガイドAprende Entrenando · 10月10日
- ユースサッカーのトレーニングをどう計画するか:指導者向け実践ガイドAprende Entrenando · 10月9日
- 少年サッカーで男の子の集中力を保つコツr/SoccerCoachResources · 10月7日
- ユースサッカーでサッカーのトレーニングを録画して分析し、あなたのセッションを改善する方法Aprende Entrenando · 10月7日
